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都内に住んでいると、電車移動といえば常に混雑した車内で立ったまま移動するのが当たり前になっていた。週末も人混みを避けられる場所が少なく、気分転換したいと思っても結局は観光地の人波に疲れて帰ってくることが続いていた。

そんなとき、群馬と栃木にまたがるローカル線の存在をネットで知った。わたらせ渓谷鉄道という路線で、1両編成の列車が渓谷沿いをゆっくり走るという。調べてみると、途中駅で降りても次の列車まで1〜2時間待てば問題なく、のんびり過ごすには向いている環境だとわかった。

平日に1日休みが取れる日があったので、混雑を避けられるこのタイミングで実際に行ってみることにした。事前に時刻表をスマホで確認すると、列車の本数は1日10本程度と少なく、計画を立てないと駅で長時間待つことになりそうだった。そこで前日に簡単なスケジュールを組んでから出発することにした。

 

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実際にやってみた流れ

朝7時に自宅を出て、まず東武鉄道の浅草駅へ向かった。わたらせ渓谷鉄道の起点は桐生駅だが、そこまでのアクセスはいくつかルートがある。今回はJR両毛線を使う方法と東武鉄道を使う方法を比較し、東武線の特急りょうもう号で赤城駅まで行き、そこから各駅停車で相老駅経由で桐生駅に向かうルートを選んだ。

浅草駅8時10分発の特急に乗車した。指定席券は事前にスマホアプリで購入しておいた。券売機の操作に慣れていないと時間がかかると思ったからだ。特急は約1時間40分で赤城駅に到着し、そこから各駅停車に乗り換えた。相老駅で下車してわたらせ渓谷鉄道のホームへ移動する。

相老駅のわたらせ渓谷鉄道ホームは東武線のホームとは別になっていて、一度改札を出る必要はなく連絡通路で繋がっていた。ホームに着くと、すでに1両編成の列車が停車していた。車体は緑色で、側面に路線のロゴマークが描かれている。ドアは手動ボタン式で、自分で押して開ける仕組みだった。

車内に入ると、ロングシートではなくボックスシートが並んでいた。平日の午前中ということもあり、乗客は5〜6人程度。窓側の席に座り、事前に購入しておいた1日フリー乗車券を取り出した。この乗車券は大人2,100円で、桐生駅から終点の間藤駅まで何度でも乗り降りできる。駅の窓口でも買えるが、当日は時間短縮のため桐生駅で購入することにしていた。

相老駅から桐生駅までは1駅で約5分。桐生駅に到着後、いったん改札を出て駅の窓口で1日フリー乗車券を購入した。窓口の係員に「途中下車したい」と伝えると、おすすめの駅をいくつか教えてくれた。神戸駅、水沼駅、足尾駅あたりが見どころが多いとのことだった。

再び同じ列車に乗り込み、10時37分発の間藤行きに乗車した。桐生駅を出発すると、すぐに住宅地を抜けて山間部に入っていく。列車の速度はゆっくりで、時速40〜50キロ程度だと感じた。窓から見える景色は渓谷と川、そして森が続く。

最初の下車駅として選んだのは神戸駅だった。桐生駅から約30分、11時7分に到着した。神戸駅は無人駅で、ホームには古い木造の待合室があるだけだった。駅を出ると目の前に小さな商店と食堂が見えた。駅前には案内マップがあり、それを見ながら徒歩圏内の場所を確認した。

駅から徒歩5分ほどの場所にある「草木ダム」へ向かうことにした。案内板に従って車道沿いを歩くと、10分ほどで渡良瀬川にかかる赤い橋が見えてきた。橋を渡った先にダムの入口があり、ダムの上まで歩いて行けるようになっていた。ダムの上からは湖と周囲の山々が見渡せた。観光客は他に2組ほどしかおらず、静かに景色を眺められた。

ダムを20分ほど見て回り、再び神戸駅に戻った。次の列車は12時18分発だったので、駅前の食堂で昼食を取ることにした。食堂は地元の人が経営している小さな店で、メニューは定食が中心だった。日替わり定食を注文すると、ご飯、味噌汁、焼き魚、煮物、漬物が出てきた。価格は850円で、量も十分だった。

食事を終えて駅に戻ると、ちょうど列車が到着するタイミングだった。再び1両編成の列車に乗り込み、次の目的地である水沼駅を目指した。神戸駅から水沼駅までは約20分、12時38分に到着した。

水沼駅は駅舎内に温泉施設が併設されている珍しい駅だった。駅の改札を出るとすぐに「水沼駅温泉センター」の入口があった。入浴料は600円で、タオルは200円でレンタルできた。受付で料金を支払い、脱衣所に入った。

温泉は内湯と露天風呂があり、露天風呂からは山の景色が見えた。平日の昼間ということもあり、入浴客は自分を含めて3人だけだった。40分ほどゆっくり浸かり、休憩スペースで15分ほど体を休めた。

温泉から出て時刻表を確認すると、次の列車は14時18分発だった。まだ1時間ほど時間があったので、駅周辺を歩いてみることにした。駅から徒歩3分ほどの場所に小さな商店があり、そこで飲み物を買った。店の人に話を聞くと、この辺りは昔は銅山で栄えた地域だと教えてくれた。

14時18分の列車に乗り、次は足尾駅を目指した。水沼駅から足尾駅までは約30分で、14時48分に到着した。足尾駅は有人駅で、駅舎も比較的大きかった。駅を出ると、正面に「足尾銅山観光」という看板が見えた。

足尾銅山観光施設は駅から徒歩15分ほどの場所にあった。道中は緩やかな上り坂で、途中に古い建物や史跡の案内板があった。施設の入場料は820円で、受付で料金を支払うとヘルメットを渡された。

施設内では実際の坑道跡をトロッコに乗って見学できる。トロッコは約15分間隔で出発していて、待ち時間は5分程度だった。トロッコに乗り込むと、薄暗い坑道の中を進んでいく。内部には当時の作業風景を再現した人形が展示されていて、音声ガイドで説明が流れた。坑道見学は約30分で終了した。

施設を出て再び足尾駅に戻ると、16時15分だった。次の列車は16時42分発だったので、駅の待合室で休憩した。待合室には足尾銅山の歴史や公害問題についての展示パネルがあり、それを読みながら時間を過ごした。

16時42分発の列車に乗り、終点の間藤駅まで行ってみることにした。足尾駅から間藤駅までは約10分、16時52分に到着した。間藤駅は路線の終点で、ホームの先には線路が途切れている様子が見えた。駅舎は小さく、無人駅だった。

駅周辺には特に観光施設はなく、住宅が数軒あるだけだった。ホームから見える山々の景色を10分ほど眺め、折り返しの17時9分発の列車に乗った。

帰りは桐生駅まで直通で戻ることにした。途中の景色を眺めながら、約1時間10分で桐生駅に到着した。時刻は18時19分だった。桐生駅からは東武鉄道で帰路についた。

途中でつまずいた点

最初につまずいたのは列車の本数の少なさだった。時刻表を事前に確認していたものの、実際に駅で待つと1時間以上の待ち時間が発生することがあった。特に神戸駅では次の列車まで70分あり、食事をしても時間が余った。当初は3〜4駅で途中下車する計画だったが、時間の都合で結果的に4駅に絞ることになった。

次につまずいたのは駅周辺の情報不足だった。神戸駅で降りたときも、駅前の案内マップだけでは周辺施設の営業時間や距離感が正確に掴めなかった。スマホの地図アプリで検索したが、電波が弱い場所もあり、読み込みに時間がかかった。

足尾銅山観光施設へ向かう際も、駅からの道順が少しわかりにくかった。案内看板はあったが、途中で分岐する道があり、どちらに進めばいいか迷った。結局、地元の人に道を尋ねて正しいルートを教えてもらった。

また、水沼駅の温泉ではタオルを持参していなかったため、レンタル料金が追加でかかった。事前に調べていれば持参できたので、この点は準備不足だった。

食事についても、駅周辺に食堂があるかどうかは駅によって差があった。神戸駅では駅前に食堂があったが、他の駅では近くに飲食店が見当たらない場所もあった。水沼駅や足尾駅でも食事できる場所を探したが、選択肢は限られていた。

自分なりに工夫した部分

列車の本数が少ないことへの対策として、待ち時間を有効活用する方法を考えた。まず、駅に到着したらすぐに次の列車の時刻を確認し、その時間から逆算して行動計画を立てた。例えば神戸駅では、ダムまでの往復時間を30分、食事時間を30分と見積もり、余裕を持って行動できるようにした。

スマホの電波が弱い場所があることを想定し、事前に主要な観光スポットの位置をスクリーンショットで保存しておいた。これにより、電波がなくても地図を確認できた。また、駅の案内マップもスマホで撮影しておき、後から見返せるようにした。

水沼駅の温泉では、タオルをレンタルすることになったが、次回のために小さめのタオルを持ち歩くことにした。また、温泉施設の営業時間や料金は事前に公式サイトで確認しておくと、現地での判断がスムーズになると気づいた。

食事については、神戸駅で昼食を取れたことが結果的に良かった。他の駅では飲食店が少ないため、事前にコンビニや駅の売店でパンや飲み物を買っておくことも選択肢として考えた。実際、桐生駅の売店で飲み物とお菓子を買い、移動中の車内で食べることもあった。

列車の待ち時間については、駅の待合室や周辺をゆっくり散策することで、観光とは違った地域の雰囲気を感じられた。足尾駅では駅の展示パネルを読むことで、歴史的な背景を学ぶ時間になった。

カメラの充電にも注意を払った。スマホで写真を撮り続けると電池の消耗が早いため、モバイルバッテリーを持参した。これにより、帰路でも安心して写真を撮れた。

実感した変化

この旅を通して、時間の使い方に対する考え方が変わった。都内での生活では、常に効率を優先して移動していたが、わたらせ渓谷鉄道では列車を待つ時間が自然に組み込まれている。最初は待ち時間を無駄だと感じていたが、次第にその時間を楽しむようになった。

駅周辺を歩いているときも、急いで観光スポットを巡るのではなく、景色を眺めたり地元の人と話したりする余裕ができた。神戸駅の食堂で店の人と話したことや、足尾駅で道を尋ねた際の会話が、旅の印象に残っている。

スマホの使用頻度も減った。移動中はSNSを見る時間が減り、窓の外を眺める時間が増えた。1両編成の小さな車内では、他の乗客との距離も近く、静かな雰囲気の中で過ごせた。

水沼駅の温泉では、旅の途中で体を休めることができた。都内の日帰り温泉とは違い、混雑していないため、本当にリラックスできた。温泉から出た後の爽快感は、次の目的地への移動を楽しみにさせてくれた。

足尾銅山観光では、歴史を学ぶことで地域への理解が深まった。単なる観光地巡りではなく、その土地の背景や人々の暮らしを知ることができた。これは事前の計画では想定していなかった収穫だった。

帰宅後も、旅の記憶が鮮明に残った。写真を見返すと、駅のホームで列車を待っていた時間や、ダムの上から眺めた景色が思い出される。都内での日常とは異なるペースで過ごした1日が、気持ちのリフレッシュに繋がった。

翌週からの仕事でも、焦りが減り、目の前のことに集中できるようになった。わたらせ渓谷鉄道での経験が、日常生活の時間感覚に影響を与えたと感じている。

まとめ

わたらせ渓谷鉄道の途中下車の旅は、事前の計画と現地での柔軟な対応が必要だった。列車の本数が少ないため、時刻表の確認は必須で、待ち時間を有効に使う工夫が求められた。一方で、その待ち時間があるからこそ、急がずにゆっくり過ごせる環境が整っていた。

駅周辺の情報は事前に調べておくと安心だが、現地で人に尋ねることも旅の一部として楽しめた。スマホの地図だけに頼らず、案内マップや地元の人の話を参考にすることで、より深い体験ができた。

温泉や食事、観光施設など、それぞれの駅に特徴があり、自分の興味に合わせて途中下車する駅を選べる。今回は4駅で途中下車したが、次回は別の駅を選んでみたいと思っている。

1両編成の小さな列車での移動は、都内の通勤電車とは全く異なる体験だった。混雑とは無縁の車内で、渓谷沿いの景色を眺めながら過ごす時間は、日常から離れる良い機会になった。平日に休みが取れる人には特におすすめできる旅だと感じた。

 

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長崎港から約19キロ。何度もテレビで見た軍艦島が、こんなにも生々しい存在感を放っているとは思わなかった。

乗船前夜、ホテルの部屋でスマホの画面を睨みながら、明日の天気を何度も確認していた。軍艦島は上陸できない日も多いと聞いていたから、期待と不安が半々だった。朝7時、カーテンを開けると、港には穏やかな光が差し込んでいた。波は思ったより静かだ。これなら、行けるかもしれない。

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船に揺られて

チケットカウンターには既に30人ほどの列ができていた。外国人観光客、カメラを下げた写真愛好家、年配のご夫婦。廃墟ブームで注目を集めているとはいえ、これほど多様な人が集まっているのを見ると、この島が持つ吸引力の大きさを実感する。

船内に入ると、ガイドさんが軽い口調で注意事項を説明し始めた。上陸できるのは島のごく一部だけ、定められた見学路以外には入れない、荒天時は寄港できない場合もある。当たり前の内容だけれど、「島を守るため」という言葉には、単なる観光地とは違う重みがあった。

出港して15分ほど経つと、長崎の街並みがみるみる小さくなっていく。潮風が頬を撫でる感触は心地よくて、デッキに出ている人たちはみんな無言で海を見つめていた。こういう時間、好きだな、と思った。何も考えずに、ただ景色が変わっていくのを眺める時間。

そして、見えた。

水平線に浮かぶ、あの独特のシルエット。写真で何度も見た形なのに、実物の存在感は全く別物だった。コンクリートの塊が海に浮かんでいる、という表現が一番しっくりくる。近づくにつれ、その「異物感」がどんどん増していく。自然の中に人工物がポツンと取り残されている違和感。でも、その違和感がたまらなく美しいとも思った。

上陸して最初に感じたこと

桟橋に降り立った瞬間、膝がほんの少し震えた。緊張していたんだと、その時になって気づいた。

足元のコンクリートは波に削られてゴツゴツしている。ガイドさんに導かれて進む見学路は思ったより狭くて、30人のグループがぎゅっと固まって歩く形になった。最初のビューポイントに到着すると、目の前に広がったのは、崩れかけた鉄筋コンクリートの集合住宅群だった。

テレビで見た時は、もっとドラマチックな廃墟を想像していた。ゲームの背景みたいな、どこか非現実的な美しさを期待していたのかもしれない。でも、目の前にあるのは、ただただ「朽ちている」建物だった。壁は剥がれ、鉄筋が露出し、窓枠はあっても窓ガラスはほとんど残っていない。

それなのに、なぜだろう。涙が出そうになった。

廃墟という言葉で片付けられない何かが、確かにそこにあった。ここに人が住んでいたという事実。洗濯物を干し、子どもの声が響き、夕飯の匂いが漂っていた日々。その痕跡が、風化しながらもまだ残っている。

ガイドの言葉が景色を変えた

ガイドさんの説明が始まった。この島には最盛期5,300人が暮らしていたこと。東京の9倍の人口密度だったこと。海底炭鉱で働く人々とその家族が、この小さな島でコミュニティを作り上げていたこと。

「あの建物の1階には理髪店がありました。その隣は雑貨屋、上の階には小さな映画館もあったんですよ」

指差す先を見ると、確かに他の建物より少し構造が違う部分がある。でも言われなければ、ただの崩れたコンクリートにしか見えない。ガイドさんの言葉が、景色に色を塗っていく。

「あそこの学校には、屋上にプールがありました。小さいプールでしたけど、子どもたちは大喜びで泳いでいたそうです」

目を凝らすと、確かに屋上部分に四角い窪みのようなものが見える。真夏の日差しの中、水しぶきを上げて遊ぶ子どもたちの姿が、一瞬だけ見えた気がした。もちろん幻だけれど、その幻がやけにリアルに感じられた。

隣にいた70代くらいの男性が、「俺も炭鉱の町で育ったんだよ」と小さく呟いた。その横顔は、どこか遠くを見ていた。その人にとって、この島は単なる観光スポットじゃないんだろう。失われた時代の象徴なんだろう。

想像していたものとの落差

正直に書くと、もっと「インスタ映え」する場所だと思っていた。劇的な廃墟美、絵になる構図、誰かに自慢したくなる写真。そういうものを期待していた部分があった。

でも実際は違った。

立入禁止のロープで区切られた見学エリアから、崩れかけた建物を眺める。確かに圧倒的な景観ではあるけれど、それは「美しい」というより「重い」ものだった。シャッターを切る手が、何度も止まった。これを安易にSNSに上げていいんだろうか、という躊躇いがあった。

写真を撮ることに夢中な人もいたし、それが悪いとは思わない。でも私は、カメラを構えながら、ファインダー越しに見る景色と、肉眼で見る景色の違いに戸惑っていた。写真にすると、どうしても「絵」になってしまう。そこにあった生活の重みが、抜け落ちてしまう気がした。

ガイドさんが見学者に古い写真を見せてくれた。1960年代の軍艦島。活気に満ちた商店街、学校の運動会、祭りの様子。そこには確かに、普通の暮らしがあった。その写真と、目の前の廃墟を交互に見比べると、時間の残酷さみたいなものがズシンと胸に来た。

第三見学広場で立ち尅んだ

見学路の最後、第三見学広場に到着した時、急に視界が開けた。ここからは島の全景が見渡せる。高層アパート群、学校、病院の跡。そしてその向こうに広がる、どこまでも青い海。

「この景色を見て育った子どもたちは、大人になってどう思うんでしょうね」

若い女性ガイドさんが、質問するようにそう言った。答えはない問いだったけれど、その言葉がずっと頭に残った。

島を出て、本土で暮らすようになった元島民の子どもたち。ある日突然、故郷が廃墟になった。帰る場所が、物理的には存在するけれど、もう決して「帰れない」場所になった。それはどんな感覚なんだろう。

風が強くなってきた。海の色が少し暗くなる。滞在時間は決まっているから、そろそろ船に戻る時間だった。振り返って、もう一度島の建物を見た。さっきまでただの廃墟にしか見えなかった景色が、今は違って見えた。ここには確かに、人生があった。

帰りの船で考えたこと

船が島を離れていく。デッキに残って、小さくなっていく軍艦島をずっと見ていた。

隣に立っていた大学生くらいの男の子が、「思ってたのと違ったな」と友達に話しかけていた。「もっとゾクゾクする感じかと思った」と。その言葉に、自分の気持ちが重なった。そう、想像と違った。でもそれは、期待外れという意味じゃない。

想像していたのは、消費できるエンターテイメントとしての廃墟だった。非日常を楽しんで、写真を撮って、「行ってきた」という体験を手に入れる。そういう軽さを期待していた。

でも実際に得たのは、もっと複雑で、消化しきれない感情だった。繁栄と衰退、人間の営みの儚さ、時間の流れの無慈悲さ。そういうものが全部混ざり合って、胸の奥でモヤモヤしている。

船内に戻ると、ガイドさんが最後の説明をしていた。

「軍艦島は、日本の近代化の象徴です。でも同時に、その代償も示しています。海底炭鉱での過酷な労働、事故、そして産業構造の変化による閉山。光と影、両方がこの島にはあります」

その言葉が、今日見たものを言語化してくれた気がした。

長崎港に戻って

港に着いて、乗船券売り場の前を通り過ぎる時、これから出発する次の便を待つ人たちがいた。地図を広げている家族連れ、カメラの設定を確認している人、ワクワクした表情でスマホを見ている若いカップル。

数時間前の自分を見ているようだった。あの人たちも、想像と違う何かに出会うんだろうか。それとも、期待通りの体験をするんだろうか。人それぞれなんだろうな、と思った。

近くのカフェに入って、アイスコーヒーを注文した。窓から見える長崎の街は、当たり前のように活気に満ちている。人が歩き、車が走り、店が営業している。この「当たり前」が、いつか軍艦島のように終わる日が来るかもしれない。そんなことを考えると、目の前のありふれた景色が、少しだけ違って見えた。

スマホに入っている写真を見返す。上手く撮れた写真もあれば、ピンボケしている写真もある。でも、どの写真も、あの場所の「重さ」は写っていない。写真には写らないものがあるんだと、改めて思った。

観光地としての複雑さ

翌日、長崎市内の資料館に立ち寄った。そこには軍艦島のより詳しい歴史が展示されていた。炭鉱の発展、高度経済成長、そして閉山。元島民のインタビュー映像もあった。

「島での生活は大変だったけど、濃密でしたね。あんなに人と人の距離が近い場所は、もうないでしょう」

画面の中のおじいさんは、懐かしそうに笑っていた。その笑顔が、昨日見た廃墟とどうしても結びつかない。同じ場所なのに、時間が全く違う意味を与えている。

資料館を出る時、ふと思った。軍艦島が観光地になることを、元島民はどう思っているんだろう。自分の故郷が「廃墟」として消費されることに、複雑な思いはないんだろうか。

答えは分からない。でも、少なくとも私は、この島を簡単に「良かった」「インスタ映えした」という言葉では語れない。それだけは確かだった。

変わった視点

軍艦島から戻って一週間が経った今、あの時感じた違和感の正体が少しずつ分かってきた気がする。

私が期待していたのは、過去を「見る」体験だった。でも実際に得たのは、過去を「感じる」体験だった。見ることと感じることは、全く違う。見ることは受動的だけど、感じることは能動的だ。自分の中にある何かと、目の前の景色が共鳴しないと、感じることはできない。

軍艦島の崩れかけた建物は、単なる古い構造物じゃなかった。そこには、確かに人の温度があった。風化して、朽ちて、形を失いつつあるけれど、人が生きた痕跡は完全には消えていない。その「消えかけているけれど消えていないもの」に、私は動揺したんだと思う。

それ以来、街を歩いていても、見え方が変わった。今賑わっている商店街も、100年後にはどうなっているか分からない。古びた建物も、かつては新築で、誰かの希望が詰まっていたはずだ。当たり前に存在している景色の背後に、時間の層があることを意識するようになった。

大げさかもしれないけれど、軍艦島は私に、「今」の見方を教えてくれた気がする。

まとめ

初めての軍艦島は、想像と違った。もっと軽く、もっと消費しやすい体験だと思っていた。でも実際は、簡単には消化できない重さがあった。その重さは、決して不快なものじゃない。むしろ、旅の本質ってこういうことかもしれないと思った。

期待通りじゃないからこそ、記憶に残る。自分の想定を超えるからこそ、考え続ける。軍艦島で感じたモヤモヤは、今でも胸の奥にある。でもそのモヤモヤが、日常の見え方を少しだけ変えてくれた。

もし行こうか迷っているなら、期待を手放して行ってみるといい。廃墟として、観光地として、世界遺産として、どんな見方でもいいけれど、そこにかつて確かにあった「普通の暮らし」を、ほんの少しでも想像してみてほしい。そうすれば、この島が見せてくれるものは、写真や映像で見るものとは全く違うはずだから。

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30代になって会社の有給消化率が厳しく言われるようになり、金曜に休みを取って三連休を作ることにした。ただ誰かと予定を合わせるのが面倒で、一人で移動できる範囲で何かしたいと思っていた。

ネットで「一人旅 手軽」と検索していたら、しまなみ海道のサイクリングが出てきた。自転車は体力的に自信がなかったが、原付なら普通免許で乗れると知って興味を持った。調べると、今治や尾道でレンタル原付があり、料金も一日3000円程度だった。

東京から尾道まで新幹線で約4時間、宿も一泊7000円程度で取れそうだったので、とりあえず9月の三連休に予定を入れた。台風シーズンだが天気予報を見て一週間前に宿を予約した。出発の3日前に尾道駅前のレンタル店に電話して、50ccの原付を予約した。店の人に「橋は125ccまで通れますよ」と言われたが、原付二種の免許は持っていなかったので50ccにした。

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実際にやってみた流れ

尾道でのレンタル手続き

新幹線で福山駅まで行き、在来線で尾道駅に着いたのが午前10時過ぎだった。駅から徒歩5分のレンタル店に向かい、事前に電話で伝えていた名前を告げた。店員に運転免許証を渡し、書類に住所と電話番号を記入した。

レンタル料金は一日3000円で、保険込みだった。ヘルメットは無料で貸してくれた。ガソリンは満タン返しで、近くのスタンドの場所を地図で教えてもらった。店の人が「島は信号が少ないから意外と早く進みますよ」と言った。

原付はホンダのトゥデイで、メーターを見ると走行距離は8000キロほどだった。エンジンをかけて、アクセルの感触を確認した。自分の原付免許は取得してから10年以上経っていて、実際に乗るのは教習所以来だったが、操作自体はすぐに思い出せた。

向島への移動

尾道駅周辺の道は狭く、観光客も多かったので押して歩いた。駅前の案内板で渡船乗り場を確認し、商店街を抜けて港に向かった。渡船乗り場は駅から徒歩10分ほどで、料金は原付込みで110円だった。

船は小型で、原付を4台ほど乗せられる広さだった。係員の指示に従って船の端に原付を停め、スタンドを立てた。乗船時間は約5分で、対岸の向島に着いた。

向島に着いてすぐ、しまなみ海道の案内板があった。今治方面への矢印に従って走り出したが、最初の2キロほどは住宅地で道幅が狭く、対向車とすれ違うときは減速した。

因島大橋まで

向島から因島に渡る因島大橋の入り口まで、島の外周を走る道路を進んだ。海沿いの道ではなく、内陸を通る県道だった。途中、自転車用の青い案内板が何度か出てきたが、原付では通れない自転車道だったので無視して車道を走った。

因島大橋の手前で料金所があり、そこで初めて通行料金を払った。係員に50円を渡すと、領収書のような紙片をくれた。料金所を過ぎると、すぐに橋の上り坂が始まった。

橋の上では風が強く、原付が左右に揺れた。時速30キロ程度まで落として走った。橋の中央付近に自転車・歩行者用の通路があり、そこを歩いている人が見えた。橋の長さは約1.3キロで、渡り終えるまで3分ほどかかった。

因島での休憩

因島大橋を渡って最初のコンビニで休憩した。駐車場に原付を停め、店内でお茶を買った。店の外のベンチに座って、スマホで次のルートを確認した。

地図アプリでは次の生口橋まで約8キロと表示された。時刻は11時半で、ここまでで約1時間かかっていた。このペースなら今治まで4時間程度と予想した。

因島の海沿いを走る道を選んだが、途中で案内板を見落とし、集落の中に入ってしまった。細い路地を抜けて県道に戻るまで10分ほどロスした。

生口橋と多々羅大橋

生口橋は因島大橋よりも短く、通行料金は同じく50円だった。橋を渡ると生口島に入り、ここから海沿いの景色が開けてきた。

生口島では道路脇に柑橘類の無人販売所が複数あった。一つの販売所に停車して、袋入りのレモンを300円で買った。代金は箱に入れた。

生口島から大三島に渡る多々羅大橋は、しまなみ海道で最も長い橋だった。料金所で100円を払い、橋に入った。橋の途中で追い越し車線があり、後続の車に追い越された。原付では時速40キロが限界で、制限速度の60キロでは走れなかった。

多々羅大橋の中央には県境の表示があり、愛媛県に入ったことがわかった。橋を渡り終えると、展望台のような場所があったので立ち寄った。

大三島での昼食

展望台の駐車場に原付を停め、売店で地図を見た。時刻は12時40分で、昼食を取ることにした。展望台から2キロほど戻った場所に食堂があると店の人に教えてもらい、そこに向かった。

食堂は海鮮丼が有名な店で、平日でも観光客が並んでいた。15分ほど待って席に案内され、鯛丼を注文した。料金は1500円で、味噌汁と小鉢が付いていた。

食後、近くの道の駅に寄った。トイレを使い、自動販売機でスポーツドリンクを買った。駐車場では自転車で旅行している人たちが休憩していて、荷物を積んだ自転車が何台も並んでいた。

大三島橋と伯方島

大三島から伯方島に渡る大三島橋は短く、通行料金は50円だった。橋を渡る前にガソリンスタンドがあったので給油した。メーターを見ると、ここまでで約30キロ走っていた。給油量は1.2リットルで、燃費は25キロ程度だと計算できた。

伯方島では道の駅に寄った。ここで伯方の塩ソフトクリームを食べた。料金は350円だった。駐車場が広く、観光バスも停まっていた。

伯方島から大島に渡る伯方・大島大橋は二つの橋が連続していて、途中に見近島という小さな島があった。通行料金は合計で100円だった。

大島から今治へ

大島に入ると、道路脇に温泉施設の看板が出ていた。時刻は14時半で、まだ時間に余裕があったので立ち寄ることにした。

温泉施設の駐車場に原付を停め、受付で入浴料600円を払った。タオルは持っていなかったので、レンタルタオルセットを200円で購入した。露天風呂からは海が見えて、遠くに来島海峡大橋が見えた。

温泉に30分ほど入り、休憩室で15分ほど休んだ。時刻は15時半になっていた。

来島海峡大橋は三つの橋が連続していて、しまなみ海道で最も交通量が多かった。通行料金は200円だった。橋の上では大型トラックが何台も追い越していき、風圧で原付が揺れた。ハンドルをしっかり握って、できるだけ路肩寄りを走った。

来島海峡大橋を渡り終えると今治市内に入った。レンタル店に電話して、今治での乗り捨てが可能か確認したが、尾道で借りた原付は尾道に返す必要があると言われた。

今治駅周辺を30分ほど走って観光し、16時過ぎに折り返すことにした。

復路の移動

帰りは同じ道を戻ったが、夕方になって風が強くなり、橋の上では時速25キロまで落として走った。途中、伯方島の道の駅でもう一度休憩し、お土産に塩を買った。

大三島を過ぎたあたりで日が傾き始め、多々羅大橋を渡るころには夕日が海に映っていた。生口島では街灯が少なく、暗くなる前に尾道に戻ろうと急いだ。

因島大橋を渡り、向島に戻ったのが18時過ぎだった。渡船の最終便は19時台まであると聞いていたので、余裕を持って港に着いた。

尾道に戻り、レンタル店の近くのスタンドで給油して満タンにした。給油量は2.8リットルだった。レンタル店に原付を返却し、走行距離を確認すると、約90キロ走っていた。

途中でつまずいた点

原付の速度制限

50ccの原付は法定速度が時速30キロで、実際には平地でも時速40キロ程度しか出なかった。橋の上り坂では時速25キロまで落ちることもあった。後続車に追い越されることが多く、プレッシャーを感じた。

特に来島海峡大橋では大型車が多く、クラクションを鳴らされたことが一度あった。できるだけ路肩に寄って走ったが、風が強い日は路肩を走るのも怖かった。

125ccの原付二種なら時速60キロで走れるため、小型限定普通二輪免許を取っておけばよかったと後悔した。

案内板の見落とし

自転車用の青い案内板はあったが、原付用の案内は少なかった。スマホの地図アプリを使ったが、走行中に確認するのは危険だった。

因島で一度道を間違え、集落の狭い道に入ってしまった。Uターンする場所を探すのに時間がかかった。次回は事前にルートを紙の地図に書いておくべきだと思った。

風の強さ

橋の上では予想以上に風が強かった。特に多々羅大橋と来島海峡大橋では横風が強く、ハンドルを取られそうになった。

原付は車体が軽いため、風に弱い。橋の上では時速を落とし、ハンドルをしっかり握る必要があった。天気予報で風速を確認してから出発すべきだった。

トイレの場所

道の駅やコンビニは島ごとに数カ所あったが、橋を渡っている最中にトイレに行きたくなった場合、次の島まで我慢する必要があった。

特に多々羅大橋は長く、渡り始める前にトイレに行っておくべきだった。コンビニの場所をあらかじめ調べておくと安心だと思った。

自分なりに工夫した部分

休憩のタイミング

最初は橋を全部渡り終えてから休憩しようと思っていたが、疲れる前にこまめに停まるようにした。コンビニや道の駅を見つけたら、必要がなくても立ち寄って水分補給した。

特に橋を渡る前には必ず休憩を入れ、トイレに行き、スマホで次のルートを確認した。これで道を間違えることが減った。

荷物の最小化

最初はリュックを背負って走ろうと思っていたが、レンタル店で荷物入れのついた原付を借りられたので、そこに荷物を入れた。財布とスマホだけポケットに入れ、ペットボトルは荷物入れに入れた。

リュックを背負わないことで、肩が楽になり、長時間走っても疲れにくかった。ただし荷物入れは小さいので、お土産を買いすぎないように注意した。

写真撮影のタイミング

走行中にスマホを取り出すのは危険なので、写真は停車してから撮った。橋の上では停車できないため、橋を渡る前後にある駐車スペースで撮影した。

多々羅大橋の展望台では、橋を背景にした写真を撮った。三脚を持っていなかったが、展望台の柵にスマホを立てかけてタイマー撮影した。

給油のタイミング

50ccの原付は燃費が良く、満タンで100キロ以上走れると店の人に聞いていた。ただし島のガソリンスタンドは数が少なく、営業時間も短いため、見つけたら早めに給油した。

大三島で一度給油し、帰りは今治で給油してから戻った。スタンドの場所をスマホの地図アプリで事前に調べておいた。

服装の調整

9月でも日中は暑く、半袖で走った。ただし橋の上は風が強く、肌寒く感じることもあった。薄手の長袖シャツをリュックに入れておけばよかったと思った。

ヘルメットをかぶると頭が蒸れるため、休憩のたびに外して風に当てた。サングラスを持っていったが、ヘルメットのシールドがあったので使わなかった。

実感した変化

移動に対する感覚

普段は電車や車で移動することが多く、目的地に着くことだけを考えていた。原付で島を走ると、移動そのものが目的になった。

景色を見ながら走り、疲れたら停まり、また走る。このペースが自分に合っていると感じた。自転車よりも楽で、車よりも周囲が見えやすい。原付という選択肢があることを知った。

一人で過ごす時間

誰かと一緒だと相手のペースに合わせる必要があるが、一人だと自由に決められる。休憩したいときに休憩し、見たい景色があれば停まる。

温泉に入るかどうかもその場で決めた。予定を立てすぎず、その日の体調や気分で動けるのが楽だった。

体力の使い方

自転車で走っている人たちを見て、自分にはできないと思っていた。原付なら体力に自信がなくても長距離を移動できる。

ただし原付でも長時間座っていると腰が痛くなり、休憩が必要だった。運動不足を実感したが、無理のない範囲で動けたのは良かった。

お金の使い方

レンタル代3000円、通行料金約800円、ガソリン代約500円、食事と温泉で約3000円、合計で7300円程度だった。宿泊費と交通費を含めても2万円以内で収まった。

観光地でお金を使うよりも、移動自体に時間を使った。お土産もほとんど買わず、写真だけ撮った。物を買う満足感ではなく、経験そのものが残った。

次回への意欲

今回は今治で折り返したが、次は今治に宿泊して、翌日は今治市内を観光したい。あるいは逆ルートで今治から尾道に向かうのも良いと思った。

125ccの免許を取って、もう少し速く走れるようにしたい。風の弱い日を選んで、もう一度チャレンジしたいと考えている。

まとめ

しまなみ海道を原付で走ったのは初めてだったが、自分のペースで移動できる良さを実感した。自転車ほど体力を使わず、車ほど景色から離れない。50ccでも十分に楽しめたが、125ccならもっと快適だったと思う。

準備としては、レンタル店への事前予約、スマホの地図アプリ、給油場所の確認が役立った。服装は動きやすく、気温に合わせて調整できるものが良い。荷物は最小限にして、原付の荷物入れに収まる範囲にする。

つまずいた点としては、速度制限による後続車のプレッシャー、案内板の見落とし、橋の上の強風があった。これらは事前に知っていれば対応できた。次回は小型限定普通二輪免許を取り、125ccで走りたい。

一人で旅行するのは久しぶりだったが、誰にも気を使わず、自分の判断だけで動けるのが楽だった。計画を立てすぎず、その日の体調や気分で柔軟に変更できる余地を残すことが、一人旅では重要だと感じた。

原付という移動手段は、自転車と車の中間にある選択肢として、今後も使っていきたい。体力に自信がない人、運転免許は持っているが長距離は不安な人にとって、しまなみ海道の原付旅行は現実的な選択肢になると思う。

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日常の忙しさから少し離れたい――そう思った週末、小豆島へのフェリー旅を計画しました。岡山港から高松港を経由して島へ渡る約70分。飛行機でも新幹線でも味わえない、ゆったりとした「海の上の時間」に身をまかせる旅です。

最近はSNSで見る「映え」を求める旅が多くなりましたが、フェリー旅の魅力は別のところにあります。目的地に着くまでの移動時間そのものが、心をリセットする貴重な時間になるのです。今回は、実際に乗って感じたこと、便利だったアプリ活用法、そしてちょっとした注意点を詳しくまとめます。

🔁 旅ちゃんねるの前回の癒し旅はこちら
👉 わたらせ渓谷鉄道|途中下車の癒し旅

 

🎥動画はこちら👇

1. 小豆島フェリーへのアクセスとチケット購入

① 岡山駅からのアクセス

出発は岡山駅。ここから宇野港や新岡山港までは、バスでおよそ40〜60分です。今回は本数の多い「新岡山港」から出発しました。駅前から直通バスがあり、乗り換えもなくスムーズ。バスの運賃は片道500円程度で、ICカードも利用できます。

車で行く場合の注意点: フェリーターミナルに駐車場があり、1日上限500円ほどで停められます。ただし、ゴールデンウィークやお盆などの繁忙期は満車になることも。早朝便を利用する場合は前日夜から停められるかを事前確認しておくと安心です。また、車ごとフェリーに乗船する場合は、別途車両運賃がかかります(普通車で片道5,000円前後)。島内でレンタカーを借りる方が費用を抑えられることもあるので、用途に応じて検討しましょう。

② チケットはスマホで簡単予約

フェリー会社の公式サイトや「フェリーチケット」アプリを使えば、事前予約が可能です。特に週末や観光シーズンは満席になる便もあるので、事前にQRコードチケットを発行しておくと安心。紙のチケットを持ち歩く必要がなく、乗船口でスマホ画面をかざすだけでOKです。

予約のベストタイミング: 通常期なら当日でも問題ありませんが、3連休や夏休み期間は1週間前には予約を入れておきたいところ。往復チケットを購入すると割引が適用される場合もあります。また、早朝便や夕方便は比較的空いているので、混雑を避けたい方にはおすすめです。

2. フェリーの船内と旅の楽しみ方

① デッキで感じる瀬戸内の風

出港してしばらくすると、穏やかな瀬戸内海が目の前に広がります。デッキに出ると潮風が心地よく、遠くに見える島々がまるで絵画のよう。船の上では時間がゆっくり流れ、日常の喧騒が遠くに感じられます。

多くの人が写真を撮っていましたが、私はただ風に吹かれながら、空と海の境目をぼんやり眺めていました。この「何もしない時間」が、実は一番贅沢なのかもしれません。運が良ければ、カモメが船についてくる様子も見られます。

デッキでの過ごし方のコツ: デッキは風が強いため、帽子やストールは飛ばされないよう注意が必要です。スマホで写真を撮る際も、手すりにぶつけたり落としたりしないよう十分気をつけましょう。また、航路によっては大きな船とすれ違うこともあり、その瞬間は迫力満点。船好きにはたまらない瞬間です。

② 船内設備と便利な過ごし方

客室は自由席が中心で、冷暖房完備のリクライニングシートもあります。Wi-Fiが使える便もあり、スマホで音楽やYouTubeを見ながら過ごせます。私は「Googleマップ」で航路を追いながら、「今この島の横を通ってるんだ」と確認して楽しみました。

売店にはコーヒーや軽食もあり、旅気分を盛り上げてくれます。特におすすめは瀬戸内レモンを使ったドリンク。地元の味を船内で楽しめるのも魅力の一つです。

船内での時間の使い方: 70分という時間は、読書なら1〜2章、映画なら1本の半分くらいが楽しめる長さです。私は事前にKindleで旅行記をダウンロードしておき、船内で読み進めました。また、船の揺れが心地よく、つい眠ってしまう人も多いようです。疲れているときは、無理せず仮眠を取るのも良い過ごし方です。

③ Vrewで旅の記録を残す

船の上で撮った短い動画を、あとで「Vrew」アプリで編集しました。自動字幕をつけるだけで、ちょっとした旅の記録がすぐ完成。フェリーの揺れや海風の音も自然に残り、「あの日の空気」がそのまま蘇ります。

動画編集が苦手な人でも、AIアプリを使えば簡単に"旅の思い出作品"が作れます。BGMも自動で提案してくれるので、センスに自信がない方でも安心。帰宅後にゆっくり編集して、家族や友人にシェアするのも楽しいものです。

3. 小豆島に到着して感じた島の魅力

① 港から広がるのどかな景色

小豆島に到着すると、まず驚くのはその静けさ。港の周りにはオリーブの木が並び、ゆったりとした空気が流れています。レンタカーやバスで観光地へ向かう人もいれば、自転車で島を一周する旅人も。

私は「エンジェルロード」までタクシーで移動し、干潮時に現れる砂の道を歩きました。まるで映画のワンシーンのような光景です。潮の満ち引きで道が現れたり消えたりする自然の神秘に、改めて感動しました。

島内の移動手段について: 小豆島は意外と広く、主要観光地を巡るには車が便利です。港近くにレンタカー会社が数社あり、軽自動車なら1日4,000円前後から借りられます。バスも運行していますが本数が限られているため、時刻表を事前にチェックしておくことをおすすめします。自転車でのんびり巡るのも素敵ですが、アップダウンが多いエリアもあるので、電動アシスト付きを選ぶと快適です。

② 地元グルメを楽しむ

昼食は港近くの「オリーブ食堂」で名物のオリーブそうめんを注文。淡い緑色の麺が美しく、つるりとした喉ごしに感動しました。オリーブの風味はほのかで、夏でもさっぱりと食べられます。

また、帰りに立ち寄った売店では、オリーブオイルや島レモンのドレッシングが人気。お土産としても喜ばれる逸品です。特に小豆島産のオリーブオイルは品質が高く、料理好きな方へのプレゼントに最適です。

その他のおすすめグルメ: 醤油の産地としても有名な小豆島では、醤油ソフトクリームという珍しいスイーツも楽しめます。甘じょっぱい不思議な味わいがクセになります。また、島の手延べそうめんは日本三大そうめんの一つで、コシの強さが特徴。製麺所の直売所で購入すれば、お土産にも自宅用にも最適です。

4. フェリー旅を快適にする5つのコツ

① 早めの行動が安心

乗船時間の30分前には港に着くのがおすすめ。天候によって出航時刻が前後することもあり、余裕をもって行動すると安心です。特に帰りの便は混雑するので、往復チケットを事前に確保しておくとスムーズです。

ターミナルには待合室もあるので、早めに着いても退屈することはありません。売店で地元の特産品を眺めたり、海を見ながらコーヒーを飲んだりして、出港を待つ時間も旅の一部として楽しみましょう。

② スマホアプリを活用

Googleマップで現在位置を確認したり、天気アプリで海の状況をチェックしたり。フェリー旅はスマホアプリをうまく使うことで、ぐっと快適になります。中でも「Vrew」で旅の動画を記録しておくと、後から振り返るのが楽しくなります。

その他、「乗換案内」アプリで帰りのバスや電車の時刻を確認したり、「食べログ」で島内のグルメ情報を調べたりするのも便利。ただし、島内では電波が弱いエリアもあるので、必要な情報は事前にスクリーンショットで保存しておくと安心です。

③ デッキでの防寒対策

海の上は陸より風が強く、季節によっては肌寒いことも。春や秋でも薄手の上着を持っていくと安心です。逆に夏場は日差しが強いので、帽子や日焼け止めも必須です。

特に夕方の便は海風が冷たくなるので、デッキに出る場合は必ず上着を持参しましょう。船内は冷暖房が効いていますが、デッキとの気温差が大きいこともあります。

④ 船酔い対策も忘れずに

瀬戸内海は比較的波が穏やかですが、天候によっては揺れることもあります。船酔いが心配な方は、事前に酔い止め薬を服用しておくと安心。船内では、できるだけ中央部の席を選び、遠くの景色を眺めるようにすると酔いにくくなります。

また、空腹や満腹の状態も酔いやすくなる原因です。軽く食事を済ませてから乗船するのがベストです。万が一気分が悪くなったら、デッキに出て新鮮な空気を吸うと楽になることが多いです。

⑤ 充電器とモバイルバッテリーを持参

写真や動画を撮影していると、スマホのバッテリーはあっという間に減ります。船内にコンセントがある席もありますが数が限られているため、モバイルバッテリーを持参すると安心です。特に島内での観光も考えると、1日分のバッテリーは必須アイテムです。

準備万端でいくことで楽しい旅が続行できますから、事前のチェックリスト作成をおすすめします。

まとめ:ゆっくり進む船が教えてくれた「旅の余白」

フェリーで渡る小豆島の旅は、移動そのものが思い出になる時間でした。早く着くことが目的ではなく、ゆっくりと進む船の上で、風や景色を感じる贅沢。デジタルな毎日に少し疲れたときこそ、こんな"ゆっくり旅"が心を整えてくれます。

現代の旅行は「効率」や「コスパ」が重視されがちですが、時には移動時間を楽しむゆとりも大切です。フェリーの70分は、スマホを置いて、ただ海を眺めるだけでも価値がある時間。そんな「何もしない贅沢」を味わえるのが、フェリー旅の最大の魅力かもしれません。

次は夕暮れの便に乗って、瀬戸内の夕日を眺めながら、もう一度あの海を渡ってみたいと思います。オレンジ色に染まる海と空、そしてシルエットになる島々の景色は、きっと格別でしょう。

旅先で実際に感じた空気感や移動の便利さなど、写真だけでは伝わりにくい部分もできるだけ丁寧に書きました。これから小豆島へ行く方の参考になれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんも、ぜひゆったりとしたフェリー旅を楽しんでみてください。


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